旧吉岡家住宅の春の公開に行ってきました
5/27(土)清水3丁目にある「旧吉岡家住宅」に行ってきました。毎年2回、春と秋に公開されていますがこれまで行ったことはなく、吉岡堅二さんという画家についてもほとんど知りませんでした。
吉岡堅二さんは日本画家で、1944年から亡くなる1990年まで東大和市のこちらのお宅に住んでらっしゃいました。日本画家の吉岡華堂の次男として生まれ、20歳で帝展に入選するなど才能を発揮しました。法隆寺金堂壁画の修復模写を手掛けたり、東京藝大や自由学園で教鞭をとったりと、大変活躍された方です。
登録有形文化財に指定されている住宅は、農家で名主の池谷家によって明治前期に建てられました。吉岡氏は戦時中の疎開の意味もありますが、「落ち着いた田園生活」を望んでこの地を選び、半世紀近く暮らしました。主屋は伝統的な「田の字型」で四つの部屋になっています。土間は改造されアトリエに。創作の道具や顔料が当時の状態で置かれています。伝統的な日本家屋の部分と、改修した玄関の大理石や、ご自身で作られた食堂の電燈の笠などが相まって、とても素敵なお宅でした。
こちらは「下屋桁(げやげた)」というそうです。建物の四方の屋根を支える部分にあります。仕組みが分かるように模型が置いてあり、触ってみられるようになっていました。釘を使わず組み立てられています。宮大工の技だそうです。
庭には、吉岡氏が「アトリエにしようか」と考えたこともあるという蔵、そして様々な木々や植物もあり、のんびりお茶でも飲みたいような場所です。
旧吉岡家住宅は東大和市が所有し管理しています。一般公開はしていないので、毎年春と秋の2回、文化財ボランティアの方のお力で公開されています。吉岡堅二という画家の存在も登録有形文化財のこの建物もとても貴重なものですが、なかなか市民にも浸透していないのが現状です。そんな中、文化財ボランティアの皆さんは大変熱心に守っていらっしゃいます。
こういった貴重な資源が、重要性を認識されずにおかれているというのは残念なことです。「郷土美術館」を建てるという案もあるようですがなかなか進みません。観光のスポットにしたり、文化的なイベントを開催するなど、面白い取組みが色々できると思います。余談ですが、小平では市内に住んでいた彫刻家の平櫛田中氏の旧家を美術館にしていますね。東大和市でも文化財をもっと大切にしていきたいです。