「オーガニック給食を考えよう」開催しました!
5月10日(金)中央公民館で「オーガニック給食を考えよう」を開催しました。前半は「オーガニック先進国~韓国の給食事情」と題して元東村山市議会議員の大塚恵美子さんのお話を伺いました。反貧困ネットワークや入管法に関することなどさまざまな活動をされている大塚さんですが、昨年、有機農業や給食、そして福祉政策について韓国を視察されました。
ソウル市では2012年に「ソウル特別市親環境無償給食などの支援に関する条例」が制定され、現在では市内すべての小・中・高校でオーガニック(親環境)無償給食が実施されているとのこと。親環境=有機農産物(”有機”の基準は厳密ではない)の農業者は、完全無償給食の実施により5%から8%に増加したそうです。生産したうち30%は学校給食に使用してもらえたり、直売所へ持ち込めてスーパーなどより安価でよいものが手に入るといった、生産者が守られる仕組みが整えられています。また市民農園は4人・1チームで土地をただで貸りることができ、収穫の半分は返すものの、あまった野菜は直売所で販売することができます。そして売れ残った野菜は直売所の隣のフードバンクへ提供されることとなっています。さらに在来種を守る取り組みとして、市民農園の利用者は「種の図書館」から種を借りて在来種を栽培し、また種を取って「種の図書館」へ返すという仕組みとなっています。
この「親環境無償給食」ですが、韓国ではかつて給食の質が悪く、食中毒がたびたび発生していたそうです。そんな中、安全な給食と質の改善を求める運動が起り、当時の保護者のィ・ビンパさんという方を中心に広がっていきました。大塚さんは去年その舞台である華城(ファソン)市を訪れました。視察した小学校では「給食時間は教育」との考えで、授業の一コマと同じ50分が充てられています。学年ごとに時間をずらしてランチルームで食べるそうです。また保護者が週に1回のモニタリングで実際に給食を試食し、そいうった取組みでしっかり質が守られているということでした。
日本の中にも千葉県のいすみ市など無償のオーガニック給食を行っている自治体もあります。また八王子市では長期休暇中の給食実施(学童への提供)をしているそうです。しかし学校給食法(1954年公布)では食材費は保護者が負担することとなっていて、給食の無償化を進めるのにひとつの壁となっています。それに給食費は私費会計であり、自治体の予算・決算書に載ってこない(東大和市では決算の資料として公開されている)ため無償化にどのくらいの予算が必要か分かりにくいということも、大塚さんは指摘していました。
大塚さんのお話の間、同じお部屋で試食の調理をしていました。市内のとんがりやねの直売所より購入したグリンピースで豆ごはんを炊き、キャベツは蒸して塩と醤油の食べ比べを行いました。それから熱による成分の変性が少ないパスチャライズド牛乳(72℃15秒殺菌)も試飲。食べながらお一人ずつ感想などをお聞きしました。
保育園で働いているという方からは、園での給食はほとんど食べず家でカップラーメンを食べてる子もいる、家での食事の改善も必要だが、まずは給食を良質なものにしていくのが大切というお話がありました。また食べ物のことばかりに目が行きがちだが、給食の歴史や背景を知ることで食べ物への気持ちが変わると思う、という声や、学校での給食の時間が短く大人になっても早食いになっている。内容だけではなく時間も大切では、という意見もありました。一方で有機栽培は手間がすごくかかり、給食で使うというのは難しいのでは?といった意見も。でも「韓国でできたんだから日本でもできるのではないか」「やろうと思うことが大切。2年以内に実現したい」といった意見で、実現に向けた思いを一つにしました。
韓国では人々の連帯が起ったり、横断的な行政の関わりによって農や給食、そして福祉の取り組みが進められていて素晴らしいと思いました。でもそれだけでなく、こうして集った人たちの思いを話し合い、オーガニック給食を思い描けたことに、とても希望を感じました。オーガニック給食実現に向け、今後も活動を続けていきます。